シニアを大切にする社会環境、ご近所付き合い

都会では、たとえ持ち家であっても、いつまでも暮らし続けているかどうかは、お互いに分からない。

その不干渉性を、プライバシーの尊重として喜んだのも、われわれなのだ。

もしシニアを大切にする社会環境、ご近所付き合いを欲するのであれば、まずは自分が六十代で元気なうちに、自分自身が率先して、自分の親の世話をするとか、介護やシニアとの交流のためのボランティア事業に参加していくことが必要だろう。

自分が受けるときになってあわてても、世の中、たぶん期待した方向には進んでいない。

シニアに接しておくことは、自分の本格的老後に備えるためにも有効だ。

そうやって他人の世話をすることで、将来の自分の問題を見つめ、上手な介護の受け方を身につけられる。

また、今から周囲に、いっしょにシニアのお世話をする仲間を増やしていくことも有益だ。

自分が先に老化したら、ボランティア仲間はあなたを助けてくれるかもしれない。

地域にそうした仲間を増やしていけば、やがてその地域には新しい介護文化が生まれるかもしれない。

それはなにも人情に厚い田舎である必要はなく、今あなたが住んでいる郊外住宅地やマンションでもやりはじめていいことである。

シニア 結婚

都市部と農業地域の違い

都市部と地方の格差を克服する地域の人間関係、共同体再生の道は、しかし、われわれの社会がこれまで(そして現在も)進めてきた方向とは相反している。

そもそも「共同体の再生」といった言葉を耳にするたびに、胸をよぎるのは、「なぜ再生というのか」という素朴な疑問だ。

ここでも「家族再生」と同様の欺隔がある。

戦後の家族制度の変更が、家制度から個人を解放するという理想というか目標を掲げていたように、地域共同体の崩壊は、戦前期にはまだ濃厚に残っていた前近代的な因襲の数々を否定し、ドライでさばさばした関係、できれば無関係で放任してくれることを多くの人が望んだ結果でもあった。

プライバシーを主張し、他人から迷惑をかけられることを恐れながら、周囲に対

してこちらへの気遣いだけを求めるのは、あまりにも不当だ。

現役世代の頃に住んでいた郊外の住宅地やマンションといった集合住宅では、前近代的な風習が残っている地域社会に比べて、住民の親密度が薄いといわれている。

だが、それもまた当然のことだ。

シニア・熟年層が多い農業地域では、地域社会は生活の場であると同時に生産の場でもあり、農家同士は共同作業をする、いわば会社の同僚のような存在でもある。

しかも何世代にもわたって交流を重ねてきた関係。

一方、郊外住宅は、消費生活の暮らしだけがある場所で、隣人がどんな人か、職業は何で、正確には何歳かも分からずにいる。

熟年結婚