シニアカップルが気軽に買い物を楽しめるには

北欧社会がシニア(高齢者)の自立を促したもうひとつは街づくりで、コンセプトの基本となったのが”サテライト方式”"スポット方式”そして”地域完結方式”である。

サテライト方式は、商業施設などのサービスを集めた地域中央の周辺部に街を複数置く。

街は比較的小さい規模として置き、それぞれの街がグリーンゾーン、例えば森や林によって隔てられたので、街があとになってから肥大せず、計画どおりに原形が保たれていく地域となる。

しかも、将来、計算外の住民増加が起こりにくいだけに、サービスやゴミ処理問題に悩まされるような事態が避けられる。

次のスポット方式は、昔からあった自然や景観を損なわないため、みどりや樹木の伐採をせず、原風景をなるべく変形させないまま、街や道路を埋め込んでいく方式であり、森や林が街や住宅団地を取り囲んでしまうだけに、後から費用のかかる人工の緑地や公園をつくる無駄のほうも省ける。

最後の地域完結方式とは、地元で、年間の用事がほとんど片付くとしたら、日常生活のためにわざわざ他所へ出かけることは要らなくなる。

そのためにも基本となるのが、地域や街には充分に整備されたサービスがあることで、シニアカップルにとっても、手軽に買い物を楽しめる場所か設備があるとすれば、ひとの手助けを頼みにすることも少なくなる。

シニア 結婚

シニアカップルにとって最適な住宅が選べる社会へ

シニアカップルが暮らしやすい地域や街とはどのようなものであろうか。

街づくりをめぐる議論は度々なされてきたが、これまでは商業や工業を優先させる開発だったのではないだろうか。

その都度、住民はいつも忘れられ、特にシニア(高齢者)にとっては住みづらい地域や街ばかりであった。

スウェーデンにおけるかつての住宅事情は、寒さの厳しい風土にもかかわらず目を覆うばかりの貧弱さで、1930年代には1室しかない狭い住宅に家族6人がひしめき、バスルームがないばかりか、トイレまで戸外といった有様で、ひどい衛生状態からは結核が蔓延し、命を落とす家族があとを絶たなかった。

そこでよりよい住宅をめざして立ち上がったのが労働組合で、資金や技術を提供しながら、組合員たちも建築に加わるマイホームづくりが開始されたが、それが1920年代末には住宅協同組合(HSBなど)としての大衆運動へと成長した。

国も資金援助に加わり、それで形成された住宅市場では、居住権だけを居住者が保有する協同組合住宅、自家ないし賃貸の民間住宅、賃貸の公的住宅によって構成されるようになった。

市場での勢力がほぼ等しかった三者は競い合い、多様な住宅が生み出されたおかげで、個人や家族にとっては、購入か賃貸、あるいは居住権を買うか、自分に最適と思われる住宅がはるかに選びやすくなった。

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